| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-204  (Poster presentation)

シダ植物の生活型によるバイオマス分配とNSC濃度の違い【A】
Variations in biomass allocation and NSC concentration depending on life form of fern species【A】

*澤田大和, 檀浦正子, Shitephen WANG(京都大学)
*Yamato SAWADA, Masako DANNOURA, Shitephen WANG(Kyoto University)

シダ植物は森林の下層植生に多く存在し、土壌流出の防止といった森林生態系において重要な役割を担っている。シダ植物には胞子葉と栄養葉の二形生や根茎の形態といった生活型の多様性が存在する。シダ植物の形態と、各器官のバイオマスやNSC(非構造性炭水化物)の配分といった資源投資戦略の関係を解明することはシダ植物の多様性を理解するうえで重要である。バイオマスやNSCは植物の資源分配を示す指標として盛んに研究されているが、それらがシダ植物の生活型によってどのように異なるかについては研究が少ない。本研究ではバイオマスとNSCの分配パターンを二形生や根茎の形態といった異なる生活型を持つシダ植物で比較することを目的とした。
 本研究は京都大学フィールド科学教育センター上賀茂試験地内に生育する6種のシダ植物を対象として行われた。対象種は二形生を示す種(キジノオシダPlagiogyria japonica、シシガシラBlechnum nipponicum)、二形生を示さず根茎も匍匐しない種(ベニシダDryopteris erythrosora、イノデPolystichum polyblepharum)、根茎が匍匐する種(コハシゴシダThelypteris angustifrons、コバノイシカグマDennstaedtia scabra)の3つのグループに分けられた。各種から5個体を全草採取し、胞子葉・栄養葉・根茎・根に分けて乾燥重量を測定、各器官の配分率を計算した。その後、各グループの1種について各器官のNSC濃度(糖及びデンプン)を測定した。各器官の乾燥サンプルを粉砕し、80%(v/v)エタノールを用いて糖を抽出した後、1.1%(v/v)塩酸によりデンプンを分解・抽出し、それぞれフェノール・硫酸法で定量した。測定した各器官のNSC濃度とバイオマスから個体全体のNSC量と各器官のNSC配分率を算出した。得られた結果から各種のバイオマス及びNSCの分配パターンを記述し、種・生活型ごとに比較を行った。


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