| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-208  (Poster presentation)

柑橘品種と果実生長段階が果皮の薬効成分含量に及ぼす影響【A】【O】
Citrus Varieties and Fruit Growth Stage Influence on the Medicinal Components in the Peel【A】【O】

*百瀬彩(国際基督教大学), 山田祐彰(東京農工大学), 加賀美思帆(東京農工大学), 藤沼良典(国際基督教大学)
*Aya MOMOSE(International Christian Univ.), Masaaki YAMADA(Tokyo Univ. of Agric and Tech), Shiho KAGAMI(Tokyo Univ. of Agric and Tech), Ryosuke FUJINUMA(International Christian Univ.)

ミカンの皮は、健康を保つために医薬品や漢方生薬などに用いられている。その中でも漢方生薬は、日本でも普及している東洋医学の一つであり、その原材料の多くは海外から輸入されている。ミカンの皮からなる陳皮もその一つである。また、果物の品質を保つための摘果作業により、多くの果実が廃棄されている。農家への聞き取り調査では、摘果により結実した果実の約7割が廃棄されることが判明した。そのため、国内の柑橘類の摘果果実を再資源化で地産地消を構成することで環境負荷の軽減が期待できる。本研究では日本薬局方に定められている陳皮の薬効成分ヘスペリジンとオレンジオイルの主成分であるリモネンに注目し、主な柑橘類4種類(早生、青島、ポンカン、清見オレンジ)の果実生育時期による成分含有量の変化を解析した。サンプルは静岡県の圃場で育てられている早生3本、青島3本、ポンカン1本、清見オレンジ1本の木から採集した。摘果時期は、品種により差異はあるが、収穫まで5月~12月の自然摘果及び摘果1~3回であった。薬局方に基づいて抽出したリモネン、ヘスペリジンは成分含量(μg/g)とミカン1個あたりの薬効成分量(μg/個)で比較した。結果、リモネンは単位質量と1個あたりの成分量共に、果実が成熟するにつれて、品種に関わらず増加した。ヘスペリジンは果実が成熟するにつれて、いずれの品種においても成分含量は減少し、1個あたりの質量は温州ミカン(早生、青島)では減少し、清見オレンジ・ポンカンでは増加した。このことから、原材料となる柑橘品種の薬効成分含有量の時期特性を見極めることで、摘果果実の効率的な再資源化が可能であることが示唆された。


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