| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-209  (Poster presentation)

4樹種における葉の厚さと膨圧の日内変化と経日変化【A】
Diurnal and daily changes in leaf thickness and turgor pressure in four tree species【A】

*紺頼楓, 小野田雄介(京都大学)
*Kaede KONRAI, Yusuke ONODA(Kyoto Univ.)

植物の葉は水分条件に応じて構造が可塑的に変化し、特に葉の厚さが比較的大きく変化することが知られている。これらの変化には葉の細胞内の膨圧と解剖学的構造が大きく影響している。野外の植物において、膨圧や葉の厚さの変化を詳細に調べた研究はほとんどない。そこで本研究では、(1) 葉の膨圧と厚さは1日の中でどのように変動しているのか、(2) 天気にどの程度影響をうけるのか、(3) 膨圧の変動が大きい種は葉の厚さの変動も大きいのか、を検証することを目的とした。アラカシ、ナナミノキ、ネズミモチ、イボタノキの4樹種の若木を栽培し、葉の膨圧と厚さの日内および経日の変化を測定した。
Yaraセンサーによる膨圧の指標値と、シックネスゲージによる葉の厚さはいずれの樹種においても、日中に気温や日射が増加すると低下し、日没に向かって上昇し、翌日の日の出にかけて最大になるという周期的な傾向が見られた。また天気による影響も受け、ネズミモチ以外の3種は、気温や日射量の小さい日では膨圧変動が小さく、また日射量の減少に対して敏感な応答を示した。一方で、ネズミモチは気温や日射量に関わらず比較的一定の膨圧変動を示した。膨圧の変動は種によって振幅が大きく異なり、最も大きいイボタノキで平均約20%程度の変動を示すのに対し、最も小さいナナミノキでは約5%程度であった。葉の厚さの変動も種間で振幅が異なったが、膨圧よりも種間差は小さく、また明瞭な膨圧変動との関係は見られなかった。
本研究により、日内や日間の日射や気温の変化に依存して、葉の膨圧や厚さが大きく変動することが明らかになった。葉の厚さと膨圧の指標値は同様のパターンを示すが、種間では相関は弱く、膨圧以外の要因が葉の厚さの変化に影響している可能性も示唆された。膨圧だけでなく、葉の解剖学的構造なども調べる必要があると考えられる。


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