| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-251  (Poster presentation)

亜熱帯マングローブ林におけるオキナワアナジャコの塚形成に伴う土壌C・Nへの影響【A】【O】
Effects of Burrowing Mud Lobsters on Soil Carbon and Nitrogen in a Subtropical Mangrove Forest【A】【O】

*小嶋宥樹(玉川大・農・環境農), 稲垣大輝(玉川大・農・環境農), 吉竹晋平(早大・教育), 友常満利(玉川大・農・環境農)
*Yuki KOJIMA(Tamagawa Univ.), Daiki INAGAKI(Tamagawa Univ.), Sinpei YOSHITAKE(Waseda Univ.), Mitsutoshi TOMOTSUNE(Tamagawa Univ.)

 オキナワアナジャコ(Thalassina anomala)はマングローブ林において土壌を掘削,運搬することで1 m近くの塚を形成することが知られている.しかし,その塚の形成が土壌の化学性や微地形に与える影響については知見が乏しい.そこで,本研究では石垣島を例に亜熱帯域におけるオキナワアナジャコがマングローブ林の土壌に与える影響を化学性 (全炭素・全窒素) の観点から明らかにし,生態系に対してどのような影響を与えているか議論した.
 調査地は沖縄県石垣島のガブルマタ川周辺のオヒルギとヤエヤマヒルギが優占するマングローブ林とした.異なるサイズの塚を対象に掘削されたての新鮮掘削土壌,塚の高さ別の表面および内部の土壌,塚の無い深度別の土壌を採取し,全炭素・窒素含有率を測定した.また,掘削量を明らかにするために新鮮掘削土壌の重量を測定した.さらに,塚周辺の環境として,定点カメラによる他生物の塚の利用状況,潮位,採取された土壌の含水率を測定した.
 炭素,窒素含有率は,新鮮掘削土壌が他の土壌よりも有意に高かった.これは,掘削された土壌にオキナワアナジャコや塚を巣穴として利用しているカニ類の摂食物残渣,さらには細根などが混入したことによる影響と考えられる.また,含有率の変動幅は,塚内部が他の土壌よりも比較的大きい傾向であった.この結果は,オキナワアナジャコが有機物に富んだ土壌で塚を形成することで,通常の地下部の土壌よりも不均質な環境をもたらしていることを示唆している. また,掘削量は1~5 kg/dayで微地形の変化も確認された.さらに,塚はその他の甲殻類の巣穴や鳥類の餌場になっていることも確認された.これらの結果は,オキナワアナジャコは塚を形成することで土壌環境に大きな影響を与えていること,そして他の生物の生活環境にも影響を与える生態系改変者として重要な種であることが示唆された.


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