| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-258  (Poster presentation)

亜熱帯マングローブ林におけるEnRootを用いた細根プロファイルの解析【A】【O】
Analysis of Fine Root Profiles Using EnRoot in a Subtropical Mangrove Forest【A】【O】

*安藤幹人(玉川大・農・環境農), 稲垣大輝(玉川大・農・環境農), 大塚俊之(岐阜大・流圏セ), 平社和也(玉川大・工・デザイン), 上玉利健一(玉川大・工・デザイン), 友常満利(玉川大・農・環境農)
*Mikito ANDO(Col. Agr, Tamagawa Univ.), Daiki INAGAKI(Col. Agr, Tamagawa Univ.), Toshiyuki OHTSUKA(Gifu Univ.), Kazunari HIRAKOSO(Col. Engi, Tamagawa Univ.), Kenichi KAMITAMARI(Col. Engi, Tamagawa Univ.), Mitsutoshi TOMOTUNE(Col. Agr, Tamagawa Univ.)

 マングローブ林は土壌中に多くの炭素を貯留していることが知られている.この高い炭素貯留量には,マングローブの細根動態が大きく関わっていると考えられるが,細根動態の基盤となる根のプロファイルに関する知見は乏しい.本研究では,マングローブ林における細根のプロファイルを明らかにすることを目的とした.
 調査地は沖縄県石垣市のガブルマタ川流域のマングローブ林とした.本林分はヤエヤマヒルギ(Rhizophora stylosa)とオヒルギ(Bruguiera gymnorhiz)が優占している.細根のプロファイルを明らかにするために,ミニライゾトロン法の一種であるEnRootシステムを用いた.調査地点は樹種や株元からの距離が様々になるような場とし,深さ約70 cmまで埋設したアクリルパイプ内の5つの深度における細根の密度を評価した.
 細根密度は両樹種ともに表層で最も高く,深くなるにつれて低くなった.細根の分布は、他の様々な生態系と比べると表層でより高かった。これは、マングローブ林では潮汐に伴う定期的な冠水が起こり、水の吸収を必要としない深層での細根が少なくなることや、表層に発達した気根に付随する細根が多くなることに起因すると考えられる。表層から下層までの平均細根密度は両樹種で差は観察されたかったが、より河口側に生育するヤエヤマヒルギのほうがオヒルギよりも表層の細根密度は高くなった.その他に,細根密度は株元までの距離が近いほど、撮影方向が株元に向くほど高くなることも確認された。以上の結果、マングローブ林の細根はより表層に偏って分布していることが示され、また撮影方法によって細根密度の評価が変わってしまう可能性が示唆された。今後は既存のEnRootシステムに改良を加えるとともに,細根の重量や回転率を明らかにすることが期待される.


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