| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-270  (Poster presentation)

亜熱帯マングローブ林におけるオキナワアナジャコの塚の分布特性【A】【O】
Distribution characteristics of thalassina anomala mounds in a subtropical mangrove forest.【A】【O】

*稲垣大輝, 小嶋宥樹, 松本慧士, 安藤幹人, 友常満利(玉川大・農・環境農)
*Daiki INAGAKI, Yuki KOJIMA, Satoshi MATSUMOTO, Mikito ANDOU, Mtsutoshi TOMOTSUNE(Tamagawa Univ.)

 オキナワアナジャコ(Thalassina anomala)はマングローブ林において、土壌を掘削し大きな塚を形成する。しかし、この塚が林内のどのような場所に形成されやすいのか、その分布特性についての知見は乏しい。そこで本研究では、オキナワアナジャコが形成する塚の位置やその形状を明らかにするとともに、環境要因との関係について議論した。
 調査地は沖縄県石垣島のガブルマタ川流域のオヒルギとヤエヤマヒルギが優占する林分とした。河口から内陸(260 m)に向けて3つの区域(河口域・中流域・内陸域)にそれぞれ10 m×10 mの調査区を設けた(n = 3)。調査区内の塚を対象に、塚の数と大きさ(底面積・高さ・体積)を測定した。また、塚周辺の環境要因として、定点カメラによる潮位の測定を行った。
 その結果、河口域から内陸域に向かうにつれて、塚の数や大きさは有意に増加した。また、塚の水没時間は河口域が長く、内陸域で短かった。このことから、潮汐の影響によって、オキナワアナジャコが塚上部に積み上げた土壌が崩壊している可能性を示唆している。塚の形状については河口域から内陸域に向けて、底面積の増加に伴い高さは増加した。また、内陸域における塚については底面積の増加が確認されたが、高さの増加は約60 cmで留まった。この数値は、当調査地の年間最高潮位よりも高い値であった。オキナワアナジャコは水が被らない高さが確保されると、掘削した土壌を塚上部に排出する頻度が下がり、塚側面への排出頻度が上がると考えられる。以上のことから、塚は河口域から内陸域に向かうにつれて、数や大きさは増加する傾向にあり、オキナワアナジャコの塚の維持や排出傾向は潮位により変化すると考えられた。


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