| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-284 (Poster presentation)
伝統的な農業活動により維持されてきた里山環境が、人為的な利用・管理の放棄等によって、種の絶滅や生息地の縮小が生じることで生物多様性が低下し、さらには生態系機能までもが失われている。近年、里山における生物多様性や生態系機能を保全・復元するために、効果的な管理手法が求められている。
これまでの研究から、里山環境などの二次的自然における定期的な草刈りは植物の多様性や絶滅危惧種の保全のために有用な手法である認識をされている。しかし、これらの管理手法は必ずしも生態系機能を保全することは限らないため、里山生態系における多様性および機能を保全するために、草刈り管理による地上植物のみならず地下の生物多様性と生態系機能への影響を明らかにする必要がある。生態系機能のうち、分解機能は重要な生態系機能の主要な決定要因として認識され、生態系機能の評価に有用だと言われている。
本研究では、分解機能の変化に着目し、異なる下草刈りレジーム(刈り取り強度、時期、高さ)における分解機能に関連する群集(植物、節足動物、微生物)の多様性と組成の変化に伴う分解機能への影響を明らかにすることで、里山の生物多様性と生態系機能の保全に貢献する事を期待している。
研究の調査地はよこはま動物園ズーラシアで実施し、異なる草刈り管理(年2回(6月、9月)、刈り高(0㎝、10㎝、10㎝刈りと落ち葉掻き))を実施し、節足動物や微生物の分解速度、植物・節足動物・微生物の多様性を調べることで、多様性と分解機能の関連性を明らかにしようとする。