| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-315 (Poster presentation)
昆虫には様々な体色の種が存在するが、日本列島に広く分布するオオセンチコガネは顕著な構造色の多型を持つことが知られている。このような構造色を制御する分子メカニズムは明らかにされておらず、原因遺伝子座の特定は昆虫が多様な体色を獲得してきた進化プロセスの理解に繋がると期待されている。しかし、オオセンチコガネは累代飼育が難しく、交配実験ができないため、遺伝解析には多様な体色を持つ野外集団が良い材料となる。一方で、オオセンチコガネの体色は生息地域と強く関連し、遺伝的な集団構造が野外集団を用いた解析の障壁となっていた。そこで、演者らは局所的に構造色の多型が見られる小集団をターゲットとし、赤と緑の個体が共に観察される宮崎県串間市都井岬の小松ヶ丘集団を用いた研究を開始した。まず、データベースから取得した赤の都井岬集団の個体のPacBioロングリードと、RNA-seqデータを用いてリファレンスゲノムと遺伝子領域のアノテーションを構築した。さらに、同集団から取得した赤120個体と緑80個体のDNAをプールして高カバレッジのシーケンスを行い、遺伝子型を同定した後に、赤と緑の形質間で特異的に異なるゲノム領域を探索した。本発表では、これら新たなゲノムリソースや解析結果について報告する。