| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-328  (Poster presentation)

湖沼におけるプランクトンの季節動態の理論的解明【A】【O】
Theoretical elucidation of seasonal dynamics of plankton in lakes【A】【O】

*田中雄大, 三木健(龍谷大学)
*Yudai TANAKA, Takeshi MIKI(Ryukoku Univ.)

 湖沼におけるプランクトンの季節動態を説明するものとしてPEG(Plankton Ecology Group)モデルがある。PEGモデルでは植物プランクトンの季節動態を複数のイベントに区分して、各イベントを水質・気象・捕食等の要因から説明する言語モデルである。先行研究では過去38年間の琵琶湖における植物プランクトンの季節動態とPEGモデルを比較し、植物プランクトンの現状評価が試みられている。この研究においては、植物プランクトンの季節変動は栄養塩濃度などと併せて琵琶湖の栄養状態や水質を評価するうえで感度の高い指標としても有用であることが示唆されている。PEGモデルにおける季節動態を再現できるように数理モデルを構築すれば、さらに各動態を支配する要因の機構論的理解の詳細を得ることができる。特に本研究では、PEGモデルでは十分に考慮されていない鉛直混合の季節パターンとその長期的変動がプランクトンの季節動態に与える影響に注目して、数理モデルを構築し解析を行った。

 モデルには栄養塩1種(N)、植物プランクトン3種(P1, P2, P3)、動物プランクトン2種(Z1, Z2)、デトリタス(D)を用いた。また、モデルに鉛直混合の要素を取り入れるために有光層と無光層の2層を設定した。栄養塩、植物プランクトン、デトリタスは2層の間を循環するものとした。モデルに季節性を与えるために鉛直混合速度は季節によって変動するようにした。これらの条件を用いて常微分方程式系モデルを作成した。そして、R言語で刻み幅(0.1)固定の4次の陽的ルンゲクッタを利用して解析を行った。

 現状は有光層と無光層の2層のモデルで研究を行っている。今後は光の量が徐々に減少するような複数の層を持つモデルに拡張していきたいと考える。また、鉛直混合速度や動物プランクトンの鉛直混合等も考慮し、解析を進めていきたいと考える。


日本生態学会