| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-329  (Poster presentation)

相利共生ネットワークの複雑性とレジリエンス【A】【O】
Complexity and resilience of mutualistic networks【A】【O】

*笠原剛樹, 長田穣, 近藤倫生(東北大学)
*Goki KASAHARA, Yutaka OSADA, Michio KONDOH(Tohoku Univ)

昨今、地球温暖化や人為的なかく乱により世界中で急速な環境変化が起こっている。これらの環境変化は生態系の状態を急激に悪化させる場合があることが知られ、相利共生系も例外ではない。こうした生態系の変化を理解する上で重要な概念が多重安定状態である。多重安定状態の存在下では、環境のゆるやかな変化に伴って、ある安定状態から別の安定状態へと急激に変化することがある。この現象をレジームシフトとよぶ。環境が変化したときにレジームシフトを起こさず、元の生態系の状態を維持できる能力を生態学的レジリエンスという。近年、生態学的レジリエンス研究の発展により、多種が相互作用する生態系においてもレジームシフトを解析的に扱うことができるフレームワークが開発された。しかし、種数や種間相互作用強度、コネクタンスなどのネットワーク特徴量とレジリエンスの関係は解析的に明らかになっていない。本研究では、ネットワーク特徴量とレジリエンスの関係を解析的に導出するため、ランダム群集アプローチを使用し、ネットワーク特徴量で平均的な支配方程式を記述した。具体的には、種間相互作用強度が確率的に決まる2集団の相利共生系を仮定し、その相利関係に摂動が加わる場合に対するレジリエンスの期待値を解析的に求めた。その結果、種数が多いほどレジリエンスは高くなることが分かった。また、種内競争や種間競争が強いほど、系が存続するためには強い相利関係が必要であることが分かった。


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