| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-332  (Poster presentation)

ウシガエル(Lithobates catesbeianus)の食性における季節変化【A】
Seasonal changes in bullfrog(Lithobates catesbeianus) feeding habits【A】

*中市純矢, 勝原光希, 中田和義(岡山大学)
*Junya NAKAICHI, Koki KATSUHARA, Kazuyoshi NAKATA(Okayama Univ.)

 北米原産の外来種であるウシガエルは,捕食を通じて在来生物に対して深刻な悪影響を与えている。日本に定着した本種の食性については,幾つかの報告があるが,季節変化に関する知見は十分に得られていない。そこで本研究は,本種の食性における季節変化を明らかにすることを目的とし,岡山大学構内のビオトープ池で,2023年6〜11月(7月を除く)の毎月,ウシガエルの捕獲調査を行った。
 捕獲されたウシガエルは,解剖して胃を摘出し,胃内容物の観察と同定を行った。そして,食性分析で用いられる定量的指標の「食物重要度指数比」(Index of Relative Importance;以下,「%IRI」とする)を計算した。また,本種の食性の季節変化を検討するため,被食生物の分類群を目毎に区分し,区分ごとの%IRIを変数として,亜成体(頭胴長 < 80 mm)と成体(頭胴長 > 80 mm)に分けてクラスター分析を行った。さらに,本分析で分けられた各グループの特性を把握するため,各グループの被食生物を水生昆虫,陸生昆虫,両生類,水生生物,陸生生物,その他に区分し,グループ間で%IRIを比較した。
 クラスター分析の結果,亜成体では夏期グループ(6月と8月)と秋期グループ(9月~11月)の2グループに,成体では夏期グループ(6月と8月),秋期グループ(9月~10月),晩秋グループ(11月)の3グループに分かれた。各グループの被食生物の%IRIを比較すると,亜成体では,夏期グループでは陸生生物が最も高い%IRIを示した(特に大部分をオカダンゴムシが占めていた)のに対して,秋期グループでは水生生物が最も高い%IRIを示した。一方で成体では,夏期グループでは両生類が最も高い%IRIを示したが,秋期グループでは陸生昆虫が最も高い%IRIを示し(特にスズメバチ科が大部分を占めていた),晩秋グループでは水生昆虫が最も高い%IRIを示した。
 以上の結果から,ウシガエルの食性は,亜成体・成体ともに季節変化することが明らかとなった。


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