| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-335 (Poster presentation)
外来種が在来種と交雑したことでより侵襲的になった例として,日本に移入したセイヨウタンポポが挙げられる.雑種タンポポは純粋なセイヨウタンポポより増えており,交雑が定着・拡大に貢献したと考えられている.雑種には三倍体と四倍体が存在し,これらは起源や拡大過程が異なることが示されている.そのため,雑種集団における各倍数体の動態を明らかにすることは,雑種の今後の拡大を予測する上で重要となる.本研究では,5年おきに行われている市民参画調査「タンポポ調査西日本」で集められた雑種の核DNA量を測定し,倍数性を判定した.その結果,雑種のうち三倍体雑種が占める割合は年々高くなっており,特に親種となる在来種が分布する府県で顕著であった.三倍体雑種は在来種にニッチが似ていることから,在来種の生育地に今後さらに分布を広げていくと予想される.また2020年の調査では,三倍体と四倍体の中間の核DNA量を持つ雑種や,四倍体雑種よりも重い核DNA量を持つ雑種の割合が増えており,在来種との戻し交雑雑種が増えていることが示唆された.
In Japan, there has been a rapid spread of hybrid dandelions resulting from crossbreeding between native and alien dandelions. These hybrids possess two polyploidies, triploid and tetraploid, each with different expansion processes. To clarify hybrid dandelion dynamics in Western Japan, we measured their DNA contents and detected their ploidies. Our findings suggest that triploid hybrids are increasing, particularly in prefectures where native dandelions, the maternal parents of hybrids, are present. Since the niche of triploid hybrids is similar to that of native dandelions, they may be more likely to invade areas where native dandelions are present compared to tetraploid hybrids.