| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-339  (Poster presentation)

東京大学構内の駒場池におけるアメリカザリガニの生活史【A】【O】
Life history of red swamp crayfish (Procambarus clarkii) in Komaba Pond on the campus of the University of Tokyo.【A】【O】

*中野和真(環境三四郎, 東京大学), 尾上愛実(環境三四郎, 東京大学), 田中宏樹(環境三四郎, 東京大学), 髙橋睦生(環境三四郎, 東京大学)
*Kazuma NAKANO(Kankyo Sanshiro, The Univ. of Tokyo), Manami ONOUE(Kankyo Sanshiro, The Univ. of Tokyo), Koki TANAKA(Kankyo Sanshiro, The Univ. of Tokyo), Mutsuki TAKAHASHI(Kankyo Sanshiro, The Univ. of Tokyo)

2023年6月に「条件付特定外来生物」に指定されたアメリカザリガニ Procambarus clarkii は、ザリガニ釣りなどで親しまれ、非常に身近な生き物である。しかしその知名度に反して、アメリカザリガニの生活史については先行研究が乏しいのが現状である。
そこで、アメリカザリガニの生活史の基礎情報を追加するため、東京大学のサークル「環境三四郎」では2022年5月から2023年12月にかけて、アメリカザリガニの捕獲調査を行った。調査は東京大学 駒場Ⅰキャンパスの駒場池において行った。駒場池のアメリカザリガニ体表上に生息するヒルミミズ類が確認されているため、その生活史の基礎情報を得るために、併せてヒルミミズ類についても調査を行った。
調査では、餌を用いたびんどう罠を用いてアメリカザリガニを捕獲し、頭胸甲幅/性別/鋏脚の有無を記録した。2023年に行った一部の調査では、アメリカザリガニの額角の写真も記録時に撮影した。野外調査終了後、撮影した額角の写真を確認して、額角上のヒルミミズ類の卵の有無を記録した。
その結果、アメリカザリガニの出現は4月から確認され、捕獲個体数は7-9月に最大となり、12月には捕獲されなくなる傾向を示した。各月における雌雄比は変動が見られたが、季節による明確な変動傾向はなかった。全調査期間を通じて、抱卵した雌個体は捕獲されず、これは抱卵雌が採餌行動を取らない可能性を示唆している。また、ヒルミミズ類は全季節を通じて、成体と卵の存在が確認された。
以上の知見は、アメリカザリガニの防除を行う捕獲罠や捕獲季節を選定する上で、重要なものになりうると考える。オンサイト発表時には、上記の事項に加え、アメリカザリガニの体長組成の季節的変遷や、ヒルミミズ類のデータの詳細についても発表する予定である。


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