| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-350  (Poster presentation)

マイクアレイとプレイバック法を組み合わせた潜行性鳥類の定位の試み【A】【O】
An Attempt to Locate Hiding Birds Using Microphone Arrays and Playback【A】【O】

*王一勉(東京都市大学, 葛西鳥類保全委員会), 茨田匡(東京都市大学, 葛西鳥類保全委員会), 工藤萌華(生態教育センター, 葛西鳥類保全委員会), 吉田祐一(生態教育センター, 葛西鳥類保全委員会), 大原庄史(生態教育センター, 葛西鳥類保全委員会), 柳楽浩平(ハイラブル株式会社), 水本武志(ハイラブル株式会社), 菊地伸夫((公財)東京都公園協会, 葛西鳥類保全委員会), 堀直子((公財)東京都公園協会, 葛西鳥類保全委員会), 関口あゆ美((公財)東京都公園協会, 葛西鳥類保全委員会), 北村亘(東京都市大学, 葛西鳥類保全委員会)
*Yimian WANG(Tokyo City Univ, KBCC), Masashi BARADA(Tokyo City Univ, KBCC), Moeka KUDOU(CEED, KBCC), Yuuichi YOSHIDA(CEED, KBCC), Shoji OHARA(CEED, KBCC), Kohei NAGIRA(Hylable Inc.), Takeshi MIZUMOTO(Hylable Inc.), Nobuo KIKUCHI(Tokyo Met. Park Assoc., KBCC), Naoko HORI(Tokyo Met. Park Assoc., KBCC), Ayumi SEKIGUCHI(Tokyo Met. Park Assoc., KBCC), Wataru KITAMURA(Tokyo City Univ, KBCC)

タイトル:マイクアレイとプレイバック法を組み合わせた潜行性鳥類の定位の試み
近年、全国で湿地面積の減少が続き、それに伴い湿地を生息地とする水鳥の減少も深刻になっている。生物多様性保全の観点から、湿地を利用する希少な水鳥の保全も必要とされる。しかし、それらの水鳥には潜行性の種も多く、野外での調査が困難なため、生息の実態が不明な点が多い。特に位置の定位に関して、従来ではロガーを用いたバイオロギングがよく使われているが、ロガーなどの装着や回収やロガーによる鳥の行動への影響など問題点が指摘されている。そこで音を使って定位する技術を活用すれば、この問題が回避できると考えられた。本研究では、環境省レッドリストにて準絶滅危惧種に指定されているヒクイナを対象とし、複数のマイクアレイを用いた音源定位とプレイバック法を組み合わせて、鳥類の位置を推定する調査手法の有効性を検討した。まず、精度を検証するため、建物内で実験者がヒクイナの鳴き声を流したスピーカーを持ちながら鳥の行動を模した状態で、3台のマイクアレイを用いた定位実験を行い、定位する際の誤差を把握した。次に、葛西臨海公園鳥類園で、ヒクイナの繫殖期である5~8月にかけ週一度の頻度で日の入りの時間帯にプレイバックを行い、3台のマイクアレイを用いた音源定位を行った。最終的に現地調査から得られた定位結果と制度検証実験の際の誤差を合わせて、ヒクイナの行動圏を推定した。従来ロガーを用いたバイオロンギングの問題点を回避でき、今後の他の潜行性鳥類の生息実態の解明に活用できると考えた。


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