| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-365  (Poster presentation)

生物モニタリングにおける音響指数の有効性【A】【O】
Effectiveness of acoustic indices in biological monitoring【A】【O】

*椿山海應, 下野綾子(東邦大学)
*Kaiou TSUBAKIYAMA, Ayako SHIMONO(Toho Univ.)

音響の自立型録音機(autonomous recording units:以下ARU)は生物群集を低労力・多地点でモニタリングできる手法として着目されている。音環境に含まれる生物由来の音であるバイオフォニーは、生物群集の組成や行動に関連する膨大な情報を含んでいる。得られるデータは大規模であることから、機械学習による自動識別や音を音響指数に要約する手法が有用である。本研究では、これらの2つの手法を用いてARUによって得られるバイオフォニーが生物群集のモニタリングに活用できるかを検証することを目的とした。
千葉県北総地域の半自然草原にARUを3つ設置し、5~7月の毎日4:30~5:00、18:30~19:00、0:00~0:30の録音データを収集した。陸上のバイオフォニーを構成する主要な分類群である鳥類を解析対象とした。eBirdの音声記録を参照し機械学習で種の自動識別を行うBirdNETを用いて鳥類種数や検出音数を算出した。判定された音声を実際に聞き、自動識別結果の正答率を算出した。あわせて現地でラインセンサスを行い、検出された種の比較を行った。また、音の組成変化を示す音響複雑性(以下ACI)、音環境に占めるバイオフォニーの割合を示す生物音響指数(以下BI)などの6つの音響指数を算出した。
BirdNETで識別された101種のうち33種を実際に確認できた。そのうち26種の正答率は90%以上と高かった。誤判定された68種は出現頻度が低く、中にはセミなどの鳴き声が鳥として判定された例も含まれていた。現地調査では36種の鳥類が確認でき、そのうち28種がARUで検出された。算出した音響指数のうち、ACIは検出音数と、BIは鳥類種数と正の相関が見られる箇所があった。これらの結果からARUによる録音は、出現頻度の高い種は正確に評価できる可能性、音響指数は種多様性を反映している可能性が示唆された。


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