| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-371 (Poster presentation)
野生動物の個体数密度についての情報は,適正な保全や管理を実現するうえで不可欠なものである.近年,赤外線センサーを内蔵した自動撮影カメラが普及し,効率的で信頼性の高い個体数密度が可能になりつつある.その一つがREST法である.この手法は,事前に定めた有効検出範囲を通過した回数と,その範囲内での滞在時間を利用することで個体識別なしで密度推定を行う.本研究では,より効率的なREST法の運用を可能にするために,転移学習に基づく姿勢推定のためのソフトウェアパッケージDeepLabCutと自作のプログラムを使用し,有効検出範囲の通過の有無の判定や滞在時間の計測を自動化することを試みた.7つのポイント(鼻,両前足の甲,両後ろ足の甲,両飛節)を追跡点として2000枚の画像を学習させた.その後,新規のデータに対してモデルを適用し,有効検出範囲に座標が落ちた合計の回数と動画のフレームレートから滞在時間を計測した.測定値の信頼度を検証するために手動での計測値と比較した.その結果,滞在時間の自動計測は可能であるものの,動画によっては人の計測値と若干の誤差が生じることがわかった.これは,追跡したいポイントが隠れてしまうとうまく追跡ができずに正確な座標を取得することが困難になるためだと考えられる.今後はDeepLabCutから得られた座標を事後的に補正し,より正確な座標を取得する必要がある.