| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-374  (Poster presentation)

日光国立公園における市民科学とWeb-GISを活用した外来生物モニタリング【A】【O】
Invasive Species Monitoring in Nikko National Park Using Web GIS and Citizen Science【A】【O】

*松尾瞭吾, 髙橋俊守(宇都宮大学)
*Ryogo MATSUO, Takahashi TOSHIMORI(Utsunomiya Univ.)

日光国立公園では、緊急対策外来種に指定されている北アメリカ原産の多年生草本、オオハンゴンソウ(Rudbeckia laciniata L.)の侵入と分布拡大が課題となっている。1970年代以降、特別保護地区をはじめとする園内各地において、環境省や地元自治体、ボランティアによる継続的な防除がなされてきた。しかし、公園全域におけるオオハンゴンソウの分布状況は把握されていなかった。そこで、本研究では、Web-GIS とスマートフォンを活用した市民科学に基づくモニタリング調査に着目し、この手法の有効性や改善点を検討することを目的とした。
市民による調査結果と比較するため、地域生態学研究室による自主的なオオハンゴンソウの分布調査を並行して実施した。調査は2023年5月21日から9月30日の133日間にわたり、8名の市民科学者と3名の研究室関係者によって行った。この結果、公園全域およびその周辺の191のオオハンゴンソウ群落の分布状況を把握し、可視化することができた。Web-GISを用いたことにより、関係者間で情報を同時に共有でき、結果随時を確認しながら調査を進めることで、調査精度を保つことができた。さらに、生育地特性の解析により、道路沿いに群落が多く分布していることなど、オオハンゴンソウの生育地特性を明らかにすることができた。これらの結果は、Web-GIS とスマートフォンを活用した市民科学に基づく調査によって、国立公園のような広域の範囲における外来生物をモニタリングすることができることを示している。


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