| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-377  (Poster presentation)

学校キャンパスにおける鳥類相と植生の関係【A】
Relationships between wild bird communities and vegetation in school campuses【A】

*青木千紗, 野嵜玲児(神戸女学院大学大学院)
*Chisa AOKI, Reiji NOZAKI(Kobe College)

日本には全日制高校が4702校、定時制高校が640校、通信制高校が257校存在する。これらの学校は気候環境や都市化の程度の異なる様々な立地条件下にあるとともに、その規模や歴史、校風、構内環境なども非常に多様である。本報告ではキャンパス内の野鳥を用いた汎用性のある教材を開発するために、兵庫県南東部の様々な立地条件下にある6つの高等学校および大学のキャンパスにおいて、鳥類相と構内および周辺域の環境条件との関係を調べた。まず、各学校キャンパスの鳥類相を調べるため、ルートセンサス法による調査を行い、双眼鏡を用いて目視や鳴声で確認できた野鳥の種名と個体数などを記録した。調査ルートは各学校キャンパスにおいて、構内と一部周辺環境をほぼ網羅できるような1時間程度のコースを設定した。そして、各キャンパスの周囲1km圏の植生タイプを環境省GISの1/25,000植生図から求め、鳥類相との関係をみた。さらに、全キャンパスの敷地内における植生タイプをGoogle Earth Proの1/2,500程度の縮尺の航空写真から読み取り、環境省の統一凡例をより詳細にした19の凡例で区分した。鳥類相の調査および植生調査で得られたデータについてエクセル統計およびpc-ord7を用いて解析を行った結果、三田盆地や六甲山周辺のキャンパスではスズメやヒヨドリなどのどこにでも見られる鳥類に加えて、カラ類やコゲラ、ウグイス、ホオジロなどの概ね里山的な鳥類が特徴的にみられた。都市化が進んで孤立林となったキャンパスでは、渡り鳥など幅広い生息区分の野鳥がみられた。一方、都市部に位置するキャンパスでは、水辺環境に強く依存する水鳥類を除くとスズメやムクドリ、ドバト、カラス類などのいわゆる都市鳥といわれる種がよく出現するが、里山や森林を主な生息地とする鳥類はほとんど見られなかった。


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