| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-378  (Poster presentation)

ミャンマーにおける鳥類分布情報収集に向けたスマートフォンアプリの開発【A】【O】
Development of a smartphone app for collecting information on bird distribution in Myanmar【A】【O】

*Maria NARAHASHI(Kyushu University), Win Win Nwe(Forest Research Institute), Myo Myint  Oo SALAI(Forest Research Institute), Isao NISHIUMI(Nat Mus of Natr & Sci), Atsuo SATO(Kyushu University)

 ミャンマーは東南アジアの西部に位置し、中国、タイ、ラオス、バングラデシュ、インドと国境を接する国であり、生物地理的にも複数の地域の特徴を併せ持つ。国土は東部高地、中央低地帯、西部山脈、ラカイン海岸平地の4つの地域に分かれており、モンスーン熱帯気候から高山性寒温帯気候まで様々な気候が存在する。これにより、生物多様性が非常に豊かで、16,000種以上の植物、314種の哺乳類、1,131種の鳥類、293種の爬虫類、139種の両生類が確認されており、渡り鳥の重要な中継地および越冬地としても知られる。
 一方、ミャンマーの教育システムは、初等・中等教育が5-4-2年制で構成されており、小学校への就学率は約90%である。小学校から中学校への進学率は約45%、中学校から高校への進学率は約28%と推定されている。生物教育は高校の理系コースでのみ行われ、教科書は英語であるため、生物教育に触れる機会は多くのミャンマーの人々にとって限られている。また、ミャンマーの通信面では、2013年に電気通信法が承認されて以来、スマートフォンが急速に一般に普及し、その普及率は約114%に達している。
 これらの背景から、ミャンマーの豊かな生物多様性を保全し、教育の質を向上させるために、発表者らはスマートフォン向けのミャンマー語の鳥類図鑑アプリケーションの開発をおこなってきた。このアプリケーションは、ユーザーが自然に対する興味を深め、環境保全の意識を高めることを目的としている。本アプリケーションでは、ミャンマー名、英名、主な体色、頭部の色、翼の色から鳥類を検索でき、97種の鳥類の情報をミャンマー語で提供している。
 今後の展望としては、ユーザーからの鳥類の目撃情報を集める予定である。そのために市民科学サポートツールを提供するtoriR LabのMyMAPの機能をアプリに連携し、GPS情報、写真、動画、音声の収集、ユーザー同士の情報共有と学習の促進、さらには収集した情報の研究への活用を試みる。


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