| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-388  (Poster presentation)

都市緑地において池の有無が昆虫食鳥類の利用に及ぼす影響【A】
Effect of the presence of ponds on use of urban parks by insectivorous birds【A】

*花輪万智(放送大学), 小島純一(茨城大学), 加藤和弘(放送大学)
*Machi HANAWA(Open Univ. Japan), Jun-ichi KOJIMA(Ibaraki Univ.), Kazuhiro KATOH(Open Univ. Japan)

 都市において撤去されやすい生物の生息地のひとつである池は、陸域から水域にかけての移行帯を形成することにより生息地の不均一性をもたらすとともに、ユスリカなどの水中で幼虫期を過ごした昆虫が羽化することで陸上の動物に食物資源を提供すると考えられている。都市環境では農村・森林地域に比べ昆虫食鳥類は少ない傾向にあるといわれるが、都市で生息する昆虫食鳥類と都市の水域環境との関係についてはこれまでにほとんど研究されていない。
 本研究では、都市緑地の池から羽化する昆虫類が昆虫食鳥類の食物資源となる可能性を調べため、茨城県水戸市の池がある緑地で7地点、池がない緑地で5地点において、2022年から2023年の鳥類の繁殖期における定点センサスによる鳥類出現調査と衝突板トラップによる飛翔昆虫出現調査を行った。これらの結果に植生調査の結果も加え、池の有無により緑地における鳥類相に違いが生じるか、また潜在的食物資源となりうる飛翔昆虫類の出現状況の違いがどの程度関与しているかを明らかにすることを試みた。
 衝突板トラップで採集した飛翔昆虫は、まず目レベルで分け、ハエ目ユスリカ類、トビケラ目、カワゲラ目、カゲロウ目、トンボ目の5グループは水生羽化昆虫とし、それ以外は陸生昆虫として目ごとに計数した。各調査地の鳥類の出現パターンと環境条件の対応をCCA(正準対応分析)で解析した結果、第1軸スコアは水生羽化昆虫の個体数および池の有無との間で負の相関がみられ、池があり水生羽化昆虫の個体数が多い調査地では、ツバメ・ウグイス・オオヨシキリが出現する傾向が示された。第1軸スコアを応答変数とした重回帰モデルをstepAICによるモデル選択により構築したところ、水生羽化昆虫個体数のみを説明変数とするモデルが選択された。


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