| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-018  (Poster presentation)

間接相互作用は加速度から見える?:生物間相互作用の新たな定量手法の提案
Can we quantify the strength of indirect interactions from acceleration?

*伊藤公一(北海道大学), 橋本洸哉(弘前大学), 池川雄亮(琉球産経株式会社)
*Koichi ITO(Hokkaido Univ.), Koya HASHIMOTO(Hirosaki Univ.), Yusuke IKEGAWA(Ryukyu Sankei Co., Ltd.)

自然界でみられる群集動態は、多数の種間での相互作用が複雑に絡み合って駆動されている。こうした群集動態のメカニズムを明らかにする上では、観察データから捕食-被食に代表される「直接効果」と、資源競争のような第三の種を介して影響を及ぼす「間接効果」を分離・定量することが重要である。にも拘らず、こうした定量手法・理論が十分発展してきているとは言い難い。その大きな原因の一つとして、間接効果の強さの定義が困難であることが挙げられる。間接効果はその定義上、第三の種の状態によっても影響力が変わりうる。また、捕食・被食のような直接効果とは異なり、理論モデルにおける個体数の変化速度の式の中でも、明示的に特定の項として表現されることはない。このため、従来の理論研究では群集が平衡状態に達した状態にのみ注目して間接効果を定義するのが一般的であり、群集がダイナミックに変動し続けている状況においては、その大きさの定義自体が曖昧であった。
本研究では、この問題を解決するために、個体数の変化速度の時間変化=加速度に注目した。発表者らは、古典的な個体群動態モデルの解析する中で、個体数の加速度の式には、効果を仲介する第三の種と共に間接効果に相当する項が出現すること、個体数の速度の式と組み合わせて整理することで、特定の種間での直接効果と間接効果の寄与をそれぞれ分離して計算できることを発見した。本発表では、加速度の観点から直接・間接効果の⼤きさを理論的に整理・再定義しうる可能性について、実際に数種系の個体群動態モデルへの適用例とともに報告する。さらに、本定義を用いることで、群集観測データから直接効果と間接効果をそれぞれ分離・定量可能な手法を開発する取り組みについても紹介する。


日本生態学会