| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-025 (Poster presentation)
野生動物個体群の動態を把握するためには、加入率の年変動とその要因を明らかにすることが重要である。我々は北海道東部の阿寒摩周国立公園において、ニホンジカ(Cervus nippon)個体群の加入率を調べるため、1996年~2007年までの12年間、群れカウント調査を行った。毎年2月~4月にかけて100メス当りの幼獣数は減少傾向を示し、4月に最低値を示すこと、4月の幼獣割合には大きな年次変動があることが明らかとなった。一般化線形混合モデルにより、目的変数に幼獣割合、説明変数にシカの相対密度指標、積雪水量(snow water eqivalent)、風速、調査日を用いて解析したところ、積雪水量と調査日の交互作用モデルが選択され、積雪が加入率を決定していることが判った。相対密度指標は加入率に影響しなかった。積雪による餌資源の利用可能量の低下及びエネルギー消費の増大が、幼獣の栄養失調を招き、冬期の死亡率を増加させたと考えられた。