| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-049 (Poster presentation)
人間活動による大気環境変化は、生物群集に長期的で直接的・間接的インパクトを与えうる。また、近年、微生物による感染が宿主だけでなく、その相互作用種にも影響することが解明されている。しかし、群集構成種の感染が環境変化のインパクトを改変する可能性については未解明である。そこで本研究では、内部共生者*に感染した植食者(マメゾウムシ)及びその捕食寄生者(寄生蜂)から成る実験室群集において、環境変化(気温・CO2濃度上昇)の群集動態へのインパクトを検証した。内部共生者の宿主(植食者)への直接的影響、植物・捕食寄生者への間接的影響も考慮し、内部共生者による感染が環境変化の群集へのインパクトを改変するかも検証した。
結果、環境は、構成種の個体群特性及び植物量にインパクトを与えた。捕食寄生者相の構成(多様性、種)も、植食者および植物量にインパクトが大きく、HSS仮説(トップダウン調節)を支持する結果だった。内部共生者による感染は、植食者の個体群特性に与えるインパクトが顕著だったが、植物及び捕食寄生者の動態にも影響した。また、感染・環境間の交互作用効果が一部の個体群特性において認められた。
*この内部共生者による感染は、宿主(植食者)にコストをもたらすため、タイトルでは敢えて内部「寄生者」とした。