| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-071  (Poster presentation)

円網性クモの造網行動の微細観察
Detailed observation of orb-web spider's web building

*中田兼介(京都女子大学)
*Kensuke NAKATA(Kyoto Women's Univ.)

規則正しく配置された糸で作られ幾何学的な形状を持つ円網は、造網性クモの作る網を代表する構造物であり、糸の配置パターンは採餌効率に関係すると考えられている。クモはその造網過程において、配置済みの糸位置を脚で触れることで把握し、新しい糸の配置場所を決定していると考えられるが、野外における造網は風の影響を受け、クモと建築途上の網の位置がかく乱される状態で行われる。このことから、糸位置の把握はリアルタイムで行う必要があり、それに応じた配置行動の調整が必要だと考えられるが、現実にどの程度機能的な調整が行われているかは明らかではない。このようなクモのリアルタイムな糸配置にかかる制約は造網速度に現れると考えられる。このことを背景として本研究では造網行動の微細観察を行った。対象種は体長5-6mmほどのギンメッキゴミグモCyclosa argenteoalbaで、大きいものだと直径30cmほどの円網を夜明け頃に作ること、その円網は、クモの餌捕獲経験と捕食リスク認知によって、網サイズ、網目の大きさ、上下非対称性、白帯の有無が変わることが知られている。本種の造網行動を3.5K/30Pの解像度で自動撮影し、横糸建設時の位置情報として、一回の造網あたり3-4万点のデータを得た。そこから造網速度が内側の横糸ほど遅くなること、登りと降りで違いがあることが明らかになった。また、造網方向が速度に与える影響には個体差が見られた。この結果は今後の糸配置における制約を造網速度の面から明らかにするための基礎情報として利用することができると考えられる。


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