| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-072  (Poster presentation)

コロギスはなぜ糸を吐くのか?
Studied of the fibers on Gryllacrididae

*齋藤勝和, 里村和浩, 田端裕正, 高嶋あやか, 野村健司, 小倉淳(長浜バイオ大学)
*Masakazu SAITO, Kazuhiro SATOMURA, Hiromasa TABATA, Ayaka TAKASHIMA, Kenji NOMURA, Atsushi OGURA(Nagahama Bio-Sci. Tech.)

蜘蛛に代表されるように節足動物では、タンパク質からなる糸を紡ぐことができる。蜘蛛では獲物をとらえるため、糸を使って巣を作り、捕食をする。
直翅目の中でもコオロギ亜目に属する昆虫は、そのほとんどが鳴く虫として知られ、日本では長く親しまれてきている。
コロギス上科の種は、他のコオロギと異なり、口から糸を吐くことが知られており、コオロギ亜目に属する種の中でも稀有な生物である。
コロギスは、主に樹上で生活する種で、他のコオロギと同じく夜間に活発に活動する。多くのコオロギと異なり、コロギスは幼虫で越冬することが可能である。種にもよるがコロギスも成虫になると翅を有する。コオロギ上科のエンマコオロギに代表されるようにオスの成虫は発音器のある翅を擦り合わせて鳴くことができるが、コオロギの仲間でありながらコロギスのオスの成虫では、コオロギの様な発音器がないため翅を擦り合わせて鳴くことができず、代わりにタッピングを行う。コロギスはその翅を開き、威嚇をする際に役立てている。
コロギスは野外では主に常緑樹の葉を使い、自らの体を潜ませる程度の大きさの巣を作ることが知られている。この巣は蜘蛛のように、その糸で獲物をとらえるための大きな巣ではなく、葉をつづりコロギスが吐く糸でそれをとめておくといったものである。
コロギスが吐く糸は蜘蛛が作る糸とは異なる機能を持つと考えられることから、その機能を明らかにするために、採集や飼育を実施した。採取したコロギスを飼育下での行動やコロギスが作った巣から糸のみを掻き取った糸をSDS-PAGE等でタンパク質を分析した結果などについて報告する。


日本生態学会