| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-086  (Poster presentation)

ネコ科における繁殖形質の種間変異と生息地との関係
Interspecific variation in reproductive traits and their relationship to habitat in Felidae

*原野智広(愛知学院大学)
*Tomohiro HARANO(Aichi Gakuin Univ.)

食肉目ネコ科では、体サイズ以外の形態的特徴の類似性は高い。このことはおそらく、すべての種が完全な肉食性で主に哺乳類を捕食することを反映している。これらの形態および生態的特徴の一貫性を維持しながら、ネコ科は幅広い植生環境に生息している。ネコ科の種間で繁殖形質に変異が見られる。繁殖形質の種間変異は、異なる生息環境の下で選択を受けてきた結果として生じたのかもしれない。
ネコ科のメスは、一度に1頭から数頭の子を出産する。哺乳類では、一般的に、成体の体サイズの大きな種ほどリターサイズ(一度の出産で生む子の数)が小さいという関係がある。しかし、ネコ科では、種の成体体重とリターサイズとの関係が見られない。ネコ科のメスが一度の出産で生む子全体の重量は、疎林に生息する種よりも、密林に生息する種で大きいことが過去に示唆されている。
本研究では、ネコ科における繁殖形質の系統種間比較分析を行った。一度の繁殖に配分される資源が一定であると、リターサイズの増加とともに子1個体のサイズが減少するというトレードオフが生じるはずである。ネコ科では、リターサイズと出生時の子1個体の体重との関係は検出されなかった。密林に生息するネコ科では、疎林や草原のような比較的開けた環境に生息するネコ科に比べて、リターサイズが小さく、一度の出産で生む子全体の重量が成体の体重の割に小さかった。これらの植生環境による違いは、出産間隔とは関係していなかった。これらの結果から、ネコ科における繁殖形質の進化に関与する生態的要因を考察する。


日本生態学会