| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-088  (Poster presentation)

ヨツボシモンシデムシの鳴き交わし
Acoustic interaction of burying beetles

*岸田竜(佐賀大学)
*Ryu KISHIDA(Saga Univ.)

甲虫の繁殖行動において、体の特定の場所をこすりあわせることで発する摩擦音が広く用いられている。シデムシ科モンシデムシ属 Nicrophorus の甲虫では、親が小型脊椎動物の死体を子供の餌として利用し、捕食者や他の腐食者から子供や資源を防衛する。親は死体に消化液を塗り付けて処理し、その後餌の吐き戻しによって孵化してきた幼虫に給餌することが知られている。またその際に外套と腹部の鑢状構造を用いて摩擦音を出し、この摩擦音は死骸の親による幼虫のケアに重要な役割を果たしていると考えられている。一方で孵化幼虫が存在しない繁殖初期段階にも頻繁に摩擦音が発せられることから、雌雄間の交信にも用いられている可能性もある。しかしながら、モンシデムシ属における摩擦音のレパートリーや繁殖過程における摩擦音の変化についての研究は乏しく、摩擦音の正確な役割に関しては未だ理解が十分には進んでいない。 ヨツボシモンシデムシNicrophorus quadripunctatusにおいて餌資源の埋葬中に、雌雄の一方の発音後、短い時間間隔で他個体が発音する行動がみられた。この鳴き交わす行動は、餌資源上、土の中、雌雄の接触時等、繁殖行動中の様々な状況で確認された。また雄が先に発音する場合、雌が先に発音する場合の両方が確認された。鳴き交わしの二つの摩擦音の時間間隔の測定し、雌雄の発音特性を解析、行動解析も踏まえ役割を考察する。


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