| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-100  (Poster presentation)

宿主植物を共有するハナホソガ2種における排他的分布構造の季節変化
Seasonal changes in the exclusive distribution structure of two Epicephala moth species sharing the host plant

*古川沙央里(京大・生態研, 龍大・農), 川北篤(東大・理・植物園)
*Saori FURUKAWA(CER, Kyoto Univ., Ryukoku Univ.), Atsushi KAWAKITA(Univ. of Tokyo)

コミカンソウ科植物とハナホソガ属ガ類(以下、ハナホソガ)は植物と種子食性の送粉者が互いに強く依存し合う送粉共生系のひとつである。ハナホソガの雌成虫は、宿主植物の雌花に能動的に授粉した後、その子房内部に産卵する。孵化した幼虫は果実内に複数ある種子のうち数個のみ摂食して成熟するので、幼虫の食害を免れた種子により、植物も子孫を残すことができる。

日本に生息するハナホソガのうちEpicephala obovatellaEpicephala corruptrixは、コミカンソウ科植物のカンコノキとその姉妹種ヒラミカンコノキを宿主として共有する。カンコノキは沖縄諸島以北に分布し、八重山諸島以南にはヒラミカンコノキが分布する。このため、ハナホソガの生息地域によって利用する宿主が変わる。しかしながら、宿主を共有するにも関わらず、一部の地域を除き、ハナホソガ2種は排他的な分布構造をもつ。また、宿主は開花時期が年に一度、個体間で同調する。その一方で、同調期以外にも開花量は少ないが年間を通していずれかの個体が開花している。

本研究では、ハナホソガ2種の分布が混在している奄美大島において、宿主の開花量およびハナホソガ2種の分布を年間を通して調査することで、それらの季節変化の間に対応関係があるかどうかを明らかにすることを目的とする。


日本生態学会