| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-102  (Poster presentation)

長期観測データと高解像度地形データとを用いた樹木種–微地形の関係性の検討
Detecting the species-micro-topography associations by combining the long-term monitoring data with LiDAR-derived high resolution terrain data

*竹重龍一(京都大学), Kyaw Kyaw HTOO(Kyoto Univ.), 大西信徳(京都大学, DeepForest Tech.), Farhadur Md. RAHMAN(Kyoto Univ.), 小野田雄介(京都大学)
*Ryuichi TAKESHIGE(Kyoto Univ.), Kyaw Kyaw HTOO(Kyoto Univ.), Masanori ONISHI(Kyoto Univ., DeepForest Tech.), Farhadur Md. RAHMAN(Kyoto Univ.), Yusuke ONODA(Kyoto Univ.)

樹木個体の成長・死亡・更新によって顕在化する森林群集の動態を理解することは、森林生態学の主要な課題の一つである。特に地形に応じた樹木の生存戦略の違いは多様性を維持するメカニズムとして注目され、大面積調査区での研究を中心に尾根・谷の傾度に応じた樹木組成や動態に違いがあることが明らかになってきた。しかしこれまでの研究では測量の限界から5-10mスケールでの地形情報を用いて議論をしていることも多く、一つの地形情報に対し複数個体の情報が付与された状況であった。また、そもそも地形情報に樹木の正確な位置を落とすこと自体がほぼ不可能で、多くの誤差を含みうるデータを用いた議論が行われていた。近年LiDARを用いたリモートセンシング技術の発展により、森林内でも高解像度の地形情報及び正確な樹木個体位置を取得することが可能になりつつある。真に地形が樹木群集の動態と与える影響を理解するには、測量方法を改善し、従来説の再検討が必要である。
2023年、環境省モニ1000事業に参加している日本全国12か所の固定試験地にて地上LiDARを用いた測量を実施した。まず点群データから樹木個体を半自動的に抽出する工程を確立し、樹木個体データと紐づけることにより樹木の正確な位置情報を抽出した。次に解像度の異なる様々な地形指標を計算し、微地形に応じて相対成長速度に違いがみられるかを種ごとに検討した。
解析の結果、微地形が個体の成長速度に与える影響は空間スケールごとに異なり、その傾向も種ごとで異なっていた。従来利用可能だった地形情報の解像度以下の微地形に応じて成長速度が変化する種も観察された。また従来観察されていたような地形に応じた種のすみわけも再確認された。本研究により、複雑な地形に応じて多様な樹種が棲み分けていることを明らかにし、日本の森林の樹木多様性における地形の重要性の一端を明らかにできた。


日本生態学会