| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-111  (Poster presentation)

UAVを用いた小笠原諸島の撹乱地に生育する植生と保全価値の把握
Using UAVs to identify vegetation and conservation values of disturbed areas in the Ogasawara Islands

*瀬戸智大(横浜国立大学, 日本森林技術協会), 小池文人(横浜国立大学)
*Tomohiro SETO(Yokohama National Univ., JAFTA), Fumito KOIKE(Yokohama National Univ.)

小笠原諸島では、これまでに実施された調査や研究により学術的な価値が確認されており、世界自然遺産に登録されている。特に原生的な環境が残存する兄島の乾性低木林や母島石門地域の湿性高木林などは保全価値の高い地域とされてきた。しかし、これまで注目されなかった崖地や崩壊地も、陽地にのみ生育可能な稀少種の生育地や、林床での更新が困難な稀少樹木の更新地として重要である可能性がある。他方で陽性の立地は外来種の侵入地にもなり得るため状況が危惧される。アクセスが困難かつ危険が伴う崖地や崩壊地は調査が進んでおらず、学術的な価値や外来種の侵入状況は解明されていない。本研究ではアクセス困難地や危険箇所を遠隔地から確認可能なUAV(Unmanned Aerial Vehicle、通称:ドローン)を用いて崖地や崩壊地に生育する稀少種や外来種の調査を行った。父島列島の父島・兄島・人丸島、母島列島の母島・向島の崖地や崩壊地周辺を飛行し、撮影した画像を判読することで生育種の把握を行った。UAVはDJI社のMavic2 Proを用い、地表から3m~10mの範囲を手動で飛行させた。環境省レッドリストの記載種では、父島列島の崖地においてはムニンテンツキ(Fimbristylis longispica Steud. var. boninensis)等の乾燥地に生育する種が確認され、母島列島ではヘラナレン(Crepidiastrum linguifolium)、マルバシマザクラ(Leptopetalum mexicanum)、オオハマギキョウ(Lobelia boninensis)等の撹乱地を好む種が確認された。また、崩壊地ではムニンカラスウリ(Trichosanthes boninensis)等の遷移先駆種に加えて、ヒメフトモモ(Syzygium cleyerifolium)等の極相林構成種も確認された。崖地や崩壊地等の撹乱環境が希少種の生育へ寄与している可能性が示唆された。他方でトクサバモクマオウ(Casuarina equisetifolia)やリュウキュウマツ(Pinus luchuensis)、イネ科草本等の外来種も確認され、これらの種の拡大が危惧される。


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