| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-129  (Poster presentation)

全国の新幹線網を活用したタケ類開花状況把握の試み
An attempt to understand the flowering status of the tall bamboo stands in Japan using the nationwide Shinkansen lines

*小林慧人, 中尾勝洋, 北川涼(森林総研関西)
*Keito KOBAYASHI, Katsuhiro NAKAO, Ryo KITAGAWA(FFPRI Kansai)

 タケササ類(イネ科タケ亜科)は、種によっては約一世紀におよぶ栄養成長期の後、一斉開花性・一回結実性を示すという特異な生活史が知られる。開花期に入ると、その生育域全体にわたり数年から10年以上に渡って順次開花することが経験的に知られるが、各種においてその実態ははっきりとわかっていない。日本国内では、マダケ属のハチク(Phyllostachys nigra var. henonis)が2010年代後半から九州地域から東北地域にかけて開花しており、明治後期以来の現象として注目を集めている。これら広域にわたる開花現象を適切に把握することは、今世紀の開花イベントの全体像を明らかにする上で重要である。しかし、これまで具体的な把握方法は検討されてこなかった。
 本研究では、新幹線車窓からの情報収集を一手法として採用し、開花状況の把握に関してその有効性と課題を検討した。2022年9月から2023年6月にかけて、九州から北海道に至る約2300kmの新幹線路線沿いから、竹林の開花や衰退状況を観察・記録した。視界が良好な時に左右の車窓からそれぞれ2回ずつ観察を行い、開花中や立ち枯れの様相を呈する竹林の位置情報を約160カ所記録した。また、2023年6月から11月にかけては、これらの位置で実地調査を行い、タケの種類と開花や衰退の原因を詳細に記録した。さらに、GISを用いて新幹線沿いの竹林面積の変化を分析した。
 今回の発表では、これらの調査結果を基に、タケ類の広域開花現象を効果的に把握する新たな方法としての有効性、課題、そして将来への展望を議論する。


日本生態学会