| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-131 (Poster presentation)
多くの人がヒノキの花粉症に罹患しており、花粉の発生量を低減するための森林管理手法が求められている。ヒノキ林を間伐した場合の花粉生産量変化については情報が少ない。本研究では、高知県の標高の異なる2つの地域において、無間伐、25%間伐区、50%間伐区、75%間伐区を設定し、6~8年間にわたって雄花および球果の生産量をリタートラップによって評価した。反復測定分散分析の結果、どちらの地域でも雄花と球果生産量について調査区と観測年の交互作用が有意であった。高標高地域では、雄花生産量は豊作年に調査区間の差が認められず、並作年では無間伐区や50%間伐区で雄花生産量が大きかった。高標高地域の75%間伐区では球果生産量は他の調査区よりも小さかった。低標高地域の雄花生産量は75%間伐区で他の調査区よりも大きかった。低標高地域の球果生産量は豊作年では調査区間の差は認められなかったが、並作年では75%間伐区で多かった。以上の結果より、豊作年では高標高地域では林分あたりの雄花生産量が一定になるのに対し、低標高地域では林分あたりの球果生産量が一定になった。低標高地域では、間伐率の低い林分で球果に優先的に分配することで、雄花生産量の増大を抑制することが示唆された。