| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-159  (Poster presentation)

古市古墳群におけるアリ類の種構成と関係する環境要因
Ant community structure and related environmental factors in the Furuichi Kofun Group

*今西亜友美(近畿大学), 今西純一(大阪公立大学)
*Ayumi IMANISHI(Kindai Univ.), Junichi IMANISHI(Osaka Metropolitan Univ.)

 日本では神社などの文化遺産に付随する緑地は開発を免れ,都市内に孤立緑地として残存することが多く,都市忌避種の貴重な生息地となっている。文化遺産と結びついた緑地の代表例として日本では社寺林が挙げられ,その生物相に関する研究がこれまでに数多く行われてきた。しかし,社寺林同様に都市に残存する古墳の生物相を調べた研究はほとんど見当たらない。古墳は約14万基が現存しており,造成当時の状態に復元されているものもあるが,樹林化しているものも多い。そこで本研究では,古墳の生物多様性保全上の価値を明らかにするため,古墳に生息するアリを調査し,都市公園や社寺林と比較することで,古墳のアリ相の特徴とそれに影響を及ぼす環境要因を明らかにすることを目的とした。
 大阪府藤井寺市の立ち入りが可能な8ヶ所の古墳を調査の対象とした。なお,8ヶ所のうち7か所は,国史跡に指定されている。調査対象地において,2023年7~10月にアリの見取り調査と微生息場所の記録を行った。また,古墳のアリ相と,藤井寺市内の都市公園,京都市内の社寺林の先行研究で報告されているアリ相との比較を行った。
 調査対象とした古墳は,面積と植生の状態から大規模・疎林タイプ,中規模・雑木林タイプ,小規模・都市公園タイプの大きく3つのタイプに分けられた。クヌギ優占で立木密度が高い雑木林タイプでは,調査対象地の中では面積は中程度であったが,他のタイプよりも森林性のアリの種類が多かった。藤井寺市の都市公園と比較すると,面積が大きい古墳は同程度の面積の都市公園と比べて,微生息場所の種類が多く,アリの種組成が異なった。また,古墳では,京都市内の社寺林で記録されていない森林性の種が5種記録された。今回調査した古墳のうち特に雑木林タイプは,参道などの人工物が林内にほとんどなく,形状も円形に近かったため,林縁効果の影響を受けにくかったと考えられた。


日本生態学会