| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-167  (Poster presentation)

モニタリングサイト1000森林データから見えた攪乱による森林動態への影響
Effects of disturbance on forest dynamics revealed from forest data of Monitoring Site 1000

*小川裕也(自然環境研究センター)
*Yuya OGAWA(Japan Wildlife Research Center)

日本の様々な森林タイプを広域かつ長期で統一された手法を用いたモニタリングサイト1000森林調査は、世界的にも希少で有用な森林データである。2004年から約20年間のモニ1000森林データによると、胸高周囲長15cm以上の樹木の個体数は減少、現存量は増加しているサイトが多く示された。また、気候変動による影響として、近年の気温が高い時期での地上部現存量の増加や、暖かい気候を好む樹種の増加が報告されている。しかし、このような森林動態の理解には、攪乱の影響を踏まえた解析が必要である。
モニタリングサイト1000森林調査では、森林生態系に影響を与える攪乱要因に対してアンケート調査も行っている。主な攪乱要因としては、台風による倒木、病害虫による枯死(マツ枯れ・ナラ枯れ)、シカの食害による更新阻害が挙げられる。それぞれの攪乱は生態系に与える影響として異なる効果を持つと考えられるため、本調査では台風、病害虫、シカによる影響を独立的に考え、それぞれ(または組み合わせ)が調査期間内で森林動態にどのような影響を与えるかを分析した。
解析の結果、個体数については台風による増加、台風×シカによる減少が有意に示された。現存量については台風による減少、台風×シカによる増加が有意に示された。興味深いことに、調査期間以前からシカの影響が見られたサイトを含むと、シカによる現存量の増加が有意に示された。樹木の多様度指数は攪乱との有意な関係は示されなかったが、攪乱のないサイトにおいて負の相関が示された。これらの結果により、台風とシカの組み合わせが個体数を減少させ、現存量を増加させる要因であること、攪乱があることで種の多様性が維持されていることが示唆された。


日本生態学会