| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-173  (Poster presentation)

熱帯林土壌における高いリン酸分解酵素活性は速い微生物回転速度によって説明されうる
High phosphatase activity in tropical forest soils could be explained by rapid microbial turnover

*森大喜(森林総研九州支所)
*TAIKI MORI(Kyushu Research Center, FFPRI)

熱帯林土壌中のリン酸分解酵素活性は高いことがしばしば報告されているが、これは、熱帯林土壌中のリン資源が少ないためであるとされてきた。すなわち、リン資源(特に無機態リン)が限られている低リン環境において、微生物(および植物根)はリン酸分解酵素を積極的に分泌し、より多くの有機態リンを分解してリン資源を確保しようとするため、土壌中のリン酸分解酵素活性が高くなると考えられてきた。しかしながら、この高いリン酸分解酵素活性には他の要因も寄与している可能性がある。本研究では、岩石風化からのリン供給経路および土壌によるリン吸着を除外した簡易な動的平衡モデルを用いて、微生物の迅速なターンオーバーが高いリン酸分解酵素活性につながる可能性を示した。湿度と気温が高い熱帯林において、土壌微生物の迅速なターンオーバーは、土壌中の高いリン酸分解酵素活性の重要な要因である可能性がある。


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