| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-175  (Poster presentation)

コナラ枯死木の分解に伴う炭素動態
Carbon dynamics of decomposition of dead Quercus trees.

*小南裕志(森林総合研究所), 深澤遊(東北大学), 高木正博(宮崎大学), 鈴木智之(東京大学), 竹本周平(東京大学), 高梨聡(森林総合研究所), 平田晶子(森林総合研究所)
*Yuji KOMINAMI(FFPRI), Yu FUKASAWA(Tohoku University), Masahiro TAKAGI(Miyazaki University), Satoshi SUZUKI(Univ. Tokyo), Syuhei TAKEMOTO(Univ. Tokyo), Satoru TAKANASHI(FFPRI), Akiko HIRATA(FFPRI)

全国5か所(宮城、埼玉、東京、京都、宮崎)のサイトにおいてコナラ枯死木(各約50サンプル)を2016年に設置し、枯死木呼吸、枯死木の密度変化、枯死木のサイズ変化、枯死木周辺の土壌呼吸測定と並行して細片化枯死木サンプルと落葉起源リターのSIR(Substrate Induced Respiration)測定を行った。SIR測定は①サンプルを粉砕し②インキュベータでサンプルを25℃とし③含水比約2.5として、まず最適含水率のポテンシャルCO2放出量を測定し④つぎに濃度が約2.5%になるようにグルコースを加えて呼吸量を測定してポテンシャル微生物活性とした。枯死木本体からのCO2フラックスの積算値は枯死木からの全炭素消失量の約40%程度であり、残りは細片化、リーチングなどによる周辺への供給であると考えらえた。細片化枯死木サンプルのポテンシャルCO2放出量は落葉サンプルの20~30%となり、難分解性の樹皮などの影響で低い微生物活性が観測された。一方枯死木周辺の細片化有機物堆積はこのポテンシャルフラックスの低さを補う5~10倍程度の有機物蓄積が見られた。枯死木細片化に伴う土壌炭素の増大は土壌蓄積の増加と土壌CO2放出の増大の双方の機能があることが明らかとなった。


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