| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-196  (Poster presentation)

ニホンミツバチの遺伝的分化と関連する適応形質の探索
Adaptive traits associated with genetic differentiation of the Japanese honeybee, Apis cerana japonica

*若宮健, 岡田泰和(東京都立大学)
*Takeshi WAKAMIYA, Yasukazu OKADA(Tokyo Metropolitan Univ.)

ニホンミツバチは、本州・九州・四国および一部の離島に生息する野生種である。本亜種の分布する日本列島には、地域ごとに温度・降水量・日照時間などが異なる多様な環境パターンが混在している。これらのことから、日本列島の自然環境が本種の独自の適応進化を駆動している可能性がある。我々の研究グループでは、これまでに、日本全域から採集された計105個体の全ゲノムのリシーケンス解析を実施した(Wakamiya et al., 2023)。集団の遺伝構造の評価では、日本列島内の集団を北部(東北・関東・中部地方)、中央部(中国地方)、南部(九州地方)の3つに区別できた。さらに、これら3集団それぞれで特異的に選択を受けたゲノム領域の検出をPopulation Branch Statistics(PBS)を用いて行った。結果、南部集団で特異的選択を受けた領域の近傍に、ショウジョウバエで寿命や睡眠時間の短縮との関連が報告されているShakerが検出された。本研究では、ニホンミツバチの地域性のあるゲノム領域と生態形質の関係を検証するために、行動トラッキング実験を計画した。具体的には、関東地方で採集したニホンミツバチ個体の実験環境下(明暗条件のあるインキュベータ内)での活動の様子をWebカメラで撮影し、得られた動画からコンピュータプログラムを用いて活動量を算出した。発表では、行動トラッキング実験の測定値とミツバチの遺伝子型の関連について報告予定である。


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