| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-200  (Poster presentation)

皇居と赤坂御用地におけるフクロウとオオタカの生息状況と餌動物【発表取消/Cancelled】
Habitat Status and Prey Items of Ural Owls and Goshawks at the Imperial Palace and Akasaka Imperial Palace【発表取消/Cancelled】

*樋口亜紀(国立科学博物館), 黒田清子(山階鳥類研究所), 安藤達彦(東京農業大学), 小林さやか(山階鳥類研究所), 斎藤武馬(山階鳥類研究所), 安西幸栄(所属なし), 西海功(国立科学博物館)
*Aki HIGUCHI(National Museum of Nature Sci.), Sayako KURODA(Yamashina Inst. Ornithology), Tatuhiko ANDO(Tokyo Univ. of Agriculture), Sayaka KOBAYASHI(Yamashina Inst. Ornithology), Takema SAITOH(Yamashina Inst. Ornithology), Sachie ANZAI(No Institution), Isao NISHIUMI(National Museum of Nature Sci.)

 東京の中心部は、皇居を中心に数多くの歴史ある孤立緑地がビル群や道路などからなる広大なコンクリートの海に浮かぶ緑島のように点在しており、多様な生物相を育んでいる。飛翔可能な鳥類は、これらの孤立緑地を渡りの中継地や生息地として利用し、子育てをする鳥類種も徐々に増加している。一方、地上歩行性の動物など、消失した生物種も少なくはない。
 皇居の生物相に関する総合調査は1996年に国立科学博物館によって開始され、2000年と2014年に第Ⅰ期と第Ⅱ期調査結果がそれぞれ取りまとめられた。鳥類相についてはその前後でも、山階鳥類研究所が継続的に調査してきた。2021年度からは第Ⅲ期調査(科博)として、「過去150年の都市環境における生物相変遷に関する研究 -皇居を中心とした都心での収集標本の解析」が行われている。赤坂御用地においては、黒田ほかにより1986年より鳥類センサスが行われている。
 皇居でオオタカの繁殖が初めて確認されたのは2001年、赤坂御用地では2013年、フクロウについては皇居で2016年、赤坂御用地では2022年だった。首都圏でのオオタカの繁殖箇所や頻度は年々その数を増加させている。オオタカやフクロウといった生態系の上位捕食者の出現が、都市緑地群の食物連鎖にどのような影響を与えているか、カラス、ドブネズミ、ハクビシンなどといった市街地特有の生物種との関係も含め、今後の都市生態系の食物連鎖の動向を見守ることは大変重要である。 
 本講演では、現地踏査によって得られた食痕(羽、骨、ペリット)からのオオタカとフクロウの食性結果、繁殖状況、営巣環境について報告する。また、都心部のフクロウの生息の実態については、これまでほとんど明らかにされてこなかったが、両地における複数のフクロウの生息状況について、録音事例「メス同士の激しい鳴き合いとそれに応える2羽のオス」とともに紹介する。


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