| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-214  (Poster presentation)

ツバメ類の燕尾とさえずりにみられる共依存的進化
Evolution of forked tails and song in hirundines

*長谷川克(石川県立大学)
*Masaru HASEGAWA(Ishikawa Pref. Univ.)

装飾的な鳥類の羽毛とさえずりはどちらもよく知られた性選択形質だが、互いの進化的関連についてはよくわかっていない。本研究では系統種間比較法を用いてツバメ科における両者の進化的関連を調べた。ツバメ科は全種よく似た生態を示し、形態も互いによく似ているために交絡要因の影響を受けにくく、羽毛とさえずりの進化的な関係を調べるのに適した分類群といえる。とくに、本分類群では特徴的な装飾形質である燕尾が繰り返し失われており、さえずりの出現・消失との関係を調べる絶妙な機会を提供してくれる。系統と共変量を考慮して調べた結果、燕尾を失った種はさえずりがみられにくいことがわかった。この際、燕尾と関係する性選択の2指標(羽毛の性的二型とオスの抱卵参加)はどちらもさえずりの有無とは関係しなかったことから、燕尾自体の重要性が示唆された。さらに、進化パターンを調べたところ、燕尾とさえずりは互いの存在下で失われにくくなっていることがわかった。燕尾という視覚信号とさえずりという聴覚信号は統合的に使われているのだろう。


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