| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-227 (Poster presentation)
タンパク質の安定供給は今後予想される人口増加に対応するためにも必要であるし人類が生存し続けるためにも必要不可欠な問題である。世界的な海面漁業による生産量は1990年ごろから飽和する一方,養殖による生産量の増加が著しい。海面漁業ではこれまで漁獲されてこなかった地域において南方系の魚種の漁獲が見られたり、これまで漁獲されていた魚種が漁獲されなくなったりして海面漁業での漁獲による生産量は不安定である。一方で、養殖生産は生産量の不安定さは比較的少なく済む。ところが、養殖における問題は栄養塩の集積による環境負荷というデメリットも存在する。環境負荷を低減させる方法として注目されている方法がAquaponicsである。AquaponicsはAquaculture(水産養殖)とHydroponics(水耕栽培)のそれぞれの文字をとって作られた造語である。Aquaponicsでは,Aquacultureから流出する廃液に含まれる栄養塩をHydroponicsで活用することで排水の有効活用を実現する手法である。また、Hydroponicsで使われた排水を循環させ再利用する循環型Aquaponicsシステムを構築することでより環境負荷を減らすことが期待される。
本研究では循環型Aquaponicsシステムにおける水の有効利用および収穫量の最大化をする戦略について検討した。
本研究ではAquaponicsシステムを数理モデルで構築しその収量の最大化,排水される栄養塩の低減を達成するための水利用条件を計算する。モデルは,魚および植物に関するバイオマス動態を表現する部分と水溶液を介した物質循環(養殖システムからはアンモニアが排出されて植物が利用可能な硝酸塩に分解される過程を表現する)を表現する部分に分けてモデリングを実施した。最終的に、循環型Aquaponicsシステムとそうではない場合の,効率的な水の運用に関して検討した結果を報告する。