| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-230  (Poster presentation)

階層型ロトカヴォルテラモデルを用いた層間での進化可能域の比較【O】
Comparison of possible evolutionary range between layers using a hierarchical Lotka-Volterra model.【O】

*北條拓也(大阪大学大学院, 広島大学大学院), 藤本仰一(広島大学大学院)
*Hojo TAKUYA(Osaka Univ., Hiroshima Univ.), Koichi FUJIMOTO(Hiroshima Univ.)

 生態系では、多くの種が相互作用しながら共存している。一方で実験では、生態系の種数が増加すると、侵入種への抵抗性が増し、種の多様性が増えづらくなる。この矛盾に対し、生態系への新たな種の侵入・定着に必要な条件を見出すことが求められている。そこで「多くの種が共存できる種間相互作用ネットワークにおいて、新たに種が侵入して定着できるのはネットワークのどの箇所だろうか?」という問いを私達は置き、理論的な研究を行なった。この研究では、General-Lotka Volterraモデル[J. O. Haerter et al., PLOS Comp. (2016)]を用いた。このモデルは階層的な被食-捕食関係のネットワークに基づく多種の個体群動態を表す。各種が1種のみ捕食するとき、ネットワーク内の全種が共存する条件は、ネットワーク構造のみからほぼ決定される。しかし、ネットワークのどこに種が侵入し定着できるかは不明であった。
 この問いを調べるため、全種共存しうるN(=10〜30)種・L(=2〜5)階層の全ネットワークを解析的に算出する方法を確立した。ここから得られた各ネットワークに、新たに1種が侵入・定着し、N+1種が共存するネットワークとなる侵入定着数を調べた。その結果、階層数Lに依らず、種数Nに対して、侵入定着数は単調増加する、つまり、新たな種が侵入・定着することができる箇所は増えていくことを発見した。さらに、全種共存する各ネットワークで、どの階層に種が侵入しやすいかをN(=10〜20)種・L(=4,5)層で調べた。その結果、階層数に依らず、N=12以上では侵入定着数が3階層目で最大になることを見出した。加えて、L=4の場合はN=12~20が、L=5の場合はN=18,20で5層目が次に侵入しやすいことが分かった。また、1層目には常に1種が侵入できることを見つけ出した。ここから生態系の種数によって、種の侵入・定着しやすい箇所は変化することが示された。
 これは、生態系の種数が多くなると、侵入・定着しにくくなるという実験結果との矛盾を打破する可能性を示唆している。


日本生態学会