| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-256  (Poster presentation)

海産仔稚魚はマイクロプラスチックを取り込んでいるのか?
Do marine fish juveniles ingest microplastics?

*八木光晴(長崎大学), Azmi S SITI(Nagasaki Univ.), 大山香音(長崎大学), 濱内翔太(長崎大学), 明正大純(静岡県立大学), 藤本真悟(琉球大学), 成泰敬(長崎大学), 金禧珍(長崎大学), 中谷久之(長崎大学), 経塚雄策(長崎大学), 清水健一(長崎大学)
*Mitsuharu YAGI(Nagasaki Univ.), Azmi S SITI(Nagasaki Univ.), Kanon OOYAMA(Nagasaki Univ.), Shota HAMAUCHI(Nagasaki Univ.), Taijun MYOSHO(Univ. of Shizuoka), Shingo FUJIMOTO(Ryukyu Univ.), Taekyoung SEONG(Nagasaki Univ.), Hee-Jin KIM(Nagasaki Univ.), Hisayuki NAKATANI(Nagasaki Univ.), Yusaku KYOZUKA(Nagasaki Univ.), Kenichi SHIMIZU(Nagasaki Univ.)

海洋マイクロプラスチックとは 5mm 以下のプラスチックの総称であり、 MPs による海洋汚染は近年注目されている環境問題の 1 つである。マイクロプラスチックは現在、400種以上の海産魚類の体内から検出されているが、稚魚によるMPs検出事例は極めて少ない。サイズの効果から、体サイズの小さい稚魚のほうがMPsによる負の影響が大きい可能性がある。そこで、海産稚魚中のMPsの誤食実態の解明を目指した。仔稚魚のサンプルは九州西方海域において、 2019 年 4 月、 6 月、 7 月、 10 月、 11 月、 2020 年 6月にそれぞれ 9 地点に渡り、ニューストンネットで採取した。仔稚魚の同定は、まず形態学的特徴に基づきソーティングした。次にサンガーシーケンスによって DNA 配列を特定し、 BLAST 検索により種の同定を行った。仔稚魚184個体(メジナ(n=50)、ボラ(n=50)、カワハギ(n=50)、ウミヒゴイ(n=34))を用いた。全長、体重を計測した後、10%KOH水溶液15mlに浸漬し、10日間40℃で静置した。魚体が融解したことを確認した後、PCTEフィルター(孔径0.2μm)を用いて吸引ろ過した。その後、フィルター上の粒子を実体顕微鏡を用いて観察し、大きさ、色、形状の記録とμFTIRを用いて粒子の組成判別を行った。また、同様の手順で魚を収容していないブランクについても実施した。計184個体から120個のビニロン、アラミド繊維などの人工物が確認された。FTIRに供すことができたものは69個で、そのうち、化学製品由来のものは35個、MPsは11個であった。ブランクからは再生繊維のみが検出され、MPsは検出されなかった。今回、初めて海産稚魚の体内からMPsが検出され、ふ化後間もない稚魚でもMPs汚染が進行していることが明らかとなった。


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