| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-260  (Poster presentation)

草原を代表する植物の整理と将来の活用方針の提案
Re-classification of grassland plant species and utilization ideas

*野田顕, 大澤剛士(東京都立大学)
*Akira NODA, Takeshi OSAWA(Tokyo Metropolitan Univ)

日本において草原植生を対象に多くの研究が行われてきた。その際、草原を代表する植物として草原生植物または草原性植物という用語が一般的に使われてきた。しかし、どの植物を草原を代表する種とみなすかについては研究者によって異なり、体系的にまとめられていない。本発表では、日本の乾性草原を対象とした研究について系統的レビューを行い、これまでに草原を代表する植物として使用されてきた種やその定義などを整理し、今後の活用方針について提案を行う。
Google Scholarを用いて2022年までに発表された日本の草原に関する論文を収集した。キーワードとして“草原性植物”および“草原生植物”のそれぞれを用いて検索した。内容を確認できた文献のうち、調査地が日本の草原で、維管束植物や草原植生を研究対象として含み、現地調査が行われた研究を対象とした。それら条件を満たした64本の論文を基に情報の整理を行った。
どのような種を草原を代表する植物として扱うか定義を示した論文は33本であり、ほぼ半数が定義を示していなかった。その33本の論文には253分類群が確認され、そのうち2本以上の論文に記載されていたのは158分類群だった。特にススキ、ワレモコウ、ツリガネニンジンなどが頻出していた。なお、定義を示していない論文を含めた場合でも同様の種が頻出した。定義に用いられた引用文献は40本が確認され、中でも「日本植生誌」と「日本の野生植物」が多く引用されていた。しかし、同じ引用文献であっても論文によって異なる定義が用いられていた。
本研究から、草原を代表する植物の認識は統一されておらず、混乱が見られた。この課題解決として「草原を代表する植物リスト」を作成すれば、体系的な草原研究が可能である。今後、根拠に使われた文献や有識者からの意見から種の抽出、また生育環境や地域ごとのサブグループに分けるなどの作業を考えている。
※リスト作成に向けてご意見等いただければ幸いです。


日本生態学会