| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-263  (Poster presentation)

河川上中流域における魚類生息適地推定に必要な調査地点
Research on survey sites necessary for estimating suitable habitat for fish in the upper reaches of rivers

*安形仁宏, 森照貴, 中川光, 相川隆生, 岡本聖矢, 永山明(自然共生研究センター)
*Yoshihiro AGATA, Terutaka MORI, Hikaru NAKAGAWA, Takao AIKAWA, Seiya OKAMOTO, Akira NAGAYAMA(ARRC, PWRI)

近年、毎年のように洪水被害が発生し、災害の頻発化及び激甚化が懸念されている。現在予想されている気候変動において、今後2℃上昇相当シナリオ(RCP2.6)で推移した場合、洪水流量は1.2倍、洪水発生頻度は2倍に増加すると見込まれる。こういった治水上の懸念への対策強化の一環として「流域治水」が進められているが、これを受けて河川整備がこれまで対象になりにくかった場所にも展開されていくことが予想される。特に、河川上流域では、人為的改変による生態系への影響のアセスメントがしばしば自然環境保全基礎調査 (1973年開始) などやや古いデータに基づいて行われているため、新たな基礎情報の収集が望まれるが、迅速な治水対策との両立が課題となっている。最近では、短期間で多くの地点で調査を行うことができる環境DNA技術や、対象生物の在データから分布予測を行う統計手法が発展してきている。これらの活用は、迅速な基礎情報収集に役立つと推察されるが、その実用にあたっては、どの程度の労力 (調査地点数) が必要なのかを検討する必要がある。そこで、本研究では河川整備の影響を受けやすい分類群である魚類を対象として、2023年9~10月に岐阜県を流れる長良川上中流域の60地点で採水及び分析を行い、環境DNAによる魚類相のメタバーコーディング解析を行った。そして、解析に用いる地点数を複数パターン設定し、それぞれにおいてMaxEntによる魚類の生息分布推定を行った。推定にあたり、標高、傾斜、集水面積、河道蛇行度の地形情報と周辺の植生面積、水面面積、水際延長の衛星画像から得られる情報を組み合わせて説明変数として入力した。本発表では分布推定結果について、過去に行われた直接採捕の結果と照らし合わせることでその妥当性を考察するとともに、用いた地点数によるパターンの変化を検討し、実用時に必要と思われる地点数等を考察する。


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