| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-272  (Poster presentation)

野川とその周辺公園に生息するカエル類と環境条件について【O】
Frog species in an urban area and their habitat requirements【O】

*西村悠(玉川大学)
*Yu NISHIMURA(Tamagawa Univ.)

東京都では,生息するカエル類は減少しており,減少を止めるには生息場所の保全が必要となる.本研究では,東京都の野川とその周辺の水辺のある公園を対象とし,カエル類の調査を行うことで,今後の都市部に生息するカエル類の保全対策に役立てることを目的とした.野川15地点と周辺の水辺のある公園16地点の計31地点で,2023年の3月~10月の間,カエル類の成体・卵塊・幼生・亜成体の出現を記録し,成体の生息状況と周辺の土地利用の関係,アズマヒキガエルの産卵と環境条件の関係を調べた.カエル類の調査では,アズマヒキガエルが5地点,ニホンアカガエル2地点,シュレーゲルアオガエルが1地点,外来のウシガエルが5地点で確認された.在来のカエル類が確認された場所は,自然再生法や都市緑地法により事業対象地区,緑化重点地区に指定されており,それに基づいて環境に配慮した取り組みが行われていた.それにより,在来のカエル類が生息可能であった.成体の生息と生息地周辺の土地利用区分の関係では,カエル類の生息に草地が正の影響を及ぼしていたため(p<0.05,ロジスティック回帰分析),付近に草地が存在することが重要であると考えられる.卵塊は,アズマヒキガエルが6地点,ニホンアカガエルが2地点,ウシガエルが1地点で確認された.孵化したアズマヒキガエルの幼生は,約1か月後に,体長25 mmほどまで成長した後,変態し,上陸することがわかった.また,アズマヒキガエルの卵塊の有無に水深,水流,水質は重要ではなく(p>0.05,ロジスティック回帰分析),水生植物,側面,底質のうち,水生植物と側面が産卵に影響を及ぼしていることがわかった(数量化Ⅱ類).詳しくみると,抽水性や沈水性などの複数タイプの水生植物が存在すること,側面が土とコンクリートなど複数の要素で構成されていることがアズマヒキガエルの産卵に正の影響を及ぼしていることがわかった.


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