| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-287  (Poster presentation)

福島の避難指示区域・旧避難指示区域における長舌ハナバチ群集の系統的・機能的多様性
Phylogenetic and functional diversity of Long-tongued bee assemblages in the evacuation and ex-evacuation zones of Fukushima

*吉岡明良(国立環境研究所), 深澤圭太(国立環境研究所), 熊田那央(国立環境研究所), 小川結衣(国立環境研究所), 西森敬晃(元国立環境研究所), 大内博文(国立環境研究所)
*Akira YOSHIOKA(NIES), Keita FUKASAWA(NIES), Nao KUMADA(NIES), Yui OGAWA(NIES), Takahiro NISHIMORI(ex-staff of NIES), Hirofumi OUCHI(NIES)

地方の人口減少による無居住化と土地放棄は生物多様性と生態系サービスにも様々な影響を及ぼすと考えられている。東日本大震災における東電福島第一原発の事故に伴う避難指示とその解除は基礎自治体レベルの広域で無居住化と再居住を引き起こしており、生物多様性にも顕著な影響を与えていることが予想されるが、その実態は十分に明らかになっていない。
本研究では主要な送粉昆虫グループの一つである長舌ハナバチ類(ミツバチ科とハキリバチ科)に着目し、2015-2022年に福島県の避難指示区域、旧避難指示区域、及びそれらの周辺地域で衝突板トラップとマレーズトラップによるサンプリングから得られたデータを用いて分類学的多様性、系統的多様性、機能的多様性の評価を行った。
その結果、長舌ハナバチ類(労働寄生種を除く)の多様性は避難指示区域あるいは旧避難指示区域で比較的高くなる傾向が示された。これらの結果は避難指示による無居住化が送粉者の多様性にとって深刻な悪影響を与えた訳ではないことを示唆しているが、避難指示解除後も多様性が長期にわたって維持されるかについては今後も注視が必要そうである。


日本生態学会