| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-289  (Poster presentation)

イノシシの個体群動態に対する捕獲と感染症の影響
The effects of capture and classical swine fever on wild boar population

*高木俊, 栗山武夫, 杉本太郎, 横山真弓(兵庫県立大学)
*Shun TAKAGI, Takeo KURIYAMA, Taro SUGIMOTO, Mayumi YOKOYAMA(Univ. of Hyogo)

イノシシの被害軽減のための対策として、環境省と農林水産省において個体数を10年間で半減させる目標(半減目標)をかかげ、全国的な捕獲を推進してきた。目標年度の2023年度において、半減目標の達成が見込まれているものの、近年の個体数の減少は2018年以降全国的に感染が拡大した感染症(豚熱)の影響もあると考えられる。イノシシとブタの致死性の感染症である豚熱は、2018年9月に岐阜県において、日本で26年ぶりに再確認され、その後、再確認地点の周辺部の豚飼養施設のブタと野外のイノシシでの感染確認が相次いだ。現在も全国的に感染地域が拡大する豚熱がイノシシ個体群に与える影響を評価する上で、豚熱の感染状況下におけるイノシシの個体群動態を推定する必要がある。そこで、2021年に野生イノシシにおける陽性個体が確認され、その後感染地域が拡大した兵庫県を対象に、市町単位でのイノシシの個体群動態の推定を行った。
推定は捕獲による減少を明示的に組み込んだ、状態空間モデルにより行った。密度指標には努力量あたりの目撃頭数(SPUE)および、箱わな、くくりわなによる努力量あたりの捕獲数(CPUE)を用い、指標の観測係数は自動撮影カメラに基づく密度推定モデル(RESTモデル)の推定密度との回帰に基づき推定した。豚熱陽性確認前年までの密度指標データに基づく翌年の予測値と陽性確認年も含む密度指標データに基づく推定値の比較の結果、陽性確認市町において予測値よりも推定値が下回る傾向が見られ、豚熱の流行による個体数の低減が示唆された。


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