| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-293  (Poster presentation)

日本産コウモリ類の分布と陸上風力導入ポテンシャルのオーバーレイ解析
Overlay Analysis of Japanese Bat Distribution and Onshore Wind Energy Potential

*芳賀智宏(大阪大学), 三井健矢(大阪大学), 三宮望(東京大学), 牧貴大(鹿児島大学), 松井孝典(大阪大学), 福井大(東京大学)
*Chihiro HAGA(Osaka University), Kenya MITSUI(Osaka University), Nozomi SANNOMIYA(The University of Tokyo), Takahiro MAKI(Kagoshima University), Takanori MATSUI(Osaka University), Dai FUKUI(The University of Tokyo)

2030年エネルギーミックスでは、陸上風力を18 GW導入することが想定されており、今後陸上風力を導入する場所の立地の選定が重要である。本研究では、陸上風力の導入に伴い影響が懸念されている飛翔性動物のうちコウモリ類の分布と気候変動下での変化を推定し、陸上風力の導入ポテンシャルとオーバーレイすることで、導入の影響が比較的小さい地域を特定することを目的とした。まず、三宮 (2022) が収集した日本に生息する24種のコウモリの在情報を用いて気候・土地利用・地形を説明変数とする種分布予測モデルを構築した。気候データにはCMIP6の5つの気候モデルに統計的ダウンスケーリングを施したNIES v1.1を選択し、Bioclimの19変数を計算した。土地利用は国立環境研究所の日本全国標準土地利用メッシュデータを用いた。標高傾斜は国土数値情報から取得した。VIF基準により説明変数間の多重共線性の疑いのある場合は代表性の高い変数のみを選択した。種分布モデルには、在のみデータに適したMaxentモデルを用いた。擬似不在データは在データの2, 4, 8倍の3通り作成し,10回の反復計算を行った。5分割入れ子交差検証 (CV) により、内側CVでPR-AUCでハイパーパラメータを選択し、外側CVでTSS統計量で判別精度を評価した。作成されたモデル群を用いて現在気候と将来気候で各種の日本全域の分布域を推計して合議平均した。既設・計画中の陸上風力の位置情報はGlobal Wind Power Tracker、陸上風力の導入ポテンシャルはREPOSから取得し、1) すでに陸上風力が導入または導入が計画されているか、2) REPOSの導入ポテンシャルが存在するかどうかで日本全国を類型化し、コウモリ類の分布の変化と比較を行った。


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