| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-298 (Poster presentation)
農作物の花粉媒介に貢献する野生昆虫もいる。それら昆虫には、程度の差はあるが、草地などの2次的土地利用環境に依存している個体もいる。例えば、花粉媒介者としても主要なハナバチ類は成熟した森林環境よりもこうした草地的環境を好む種が多数いる。そこで、本研究では、草地環境の創出とその環境に依存する昆虫に対する森林伐採の効果を検証した。具体的には、長野県飯島町のソバ畑に隣接する森林を対象として、伐採による野外操作実験を行った。調査地それぞれにおいて、植生を把握するとともに、伐採地および伐採地横の切り残した森林内にマレーズトラップを設置して、2年にわたり昆虫を採集した。得られた昆虫の中からソバの花粉媒介者となり得る個体を抽出して解析した結果、花粉媒介候補者は森林内と比較して伐採地でより多く採集された。これは、森林伐採が特定の農作物の花粉媒介者を少なくとも短期的には増加させる効果がある可能性を示唆している。