| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-299  (Poster presentation)

六甲山における森林管理方法の違いが土壌環境と真菌群集に及ぼす影響
Effects of forest management methods on the soil environments and fungal community at Mt. Rokko

*Yuji TOKUMOTO(Univ. Miyazaki), Souta OKUYAMA(Kobe Univ.), Koki SUEYOSHI(Kobe Univ.), Harunobu TANIGAWA(Kobe Univ.), Rui REN(Kobe Univ.), Wakana AZUMA(Kobe Univ.)

国内の二次林の多くで、人々による森林資源の利用の変化や管理運営体制の遅れなどによって森林整備が停滞した放置山林が増加している。定期的な伐採管理が行われなかったことにより、一部の優勢な植物が林内で優占することがあり、発表者らが調査している六甲山系ではアセビとササの繁茂が著しい。アセビとササの繁茂は林床の光環境を暗くし、他樹種の生育を阻害する要因となっている。アセビの繁茂は土壌の微生物相や腐植量の変化をもたらすことも知られており、その変化は他樹種の生育や生存にも影響を及ぼしうる。県や市民団体がアセビやササの伐採を行い、光環境の改善により実生の発生が確認されているものの、土壌環境が伐採によってどのように変化するかについては分かっていなかった。本研究では六甲山におけるアセビとササの刈取という管理手法が土壌環境と土壌真菌類にどのような影響を及ぼすのかを、アセビの伐採有無とササの刈取有無を組み合わせた3つの処理区と対照区を設定し、環境変数と土壌真菌相を比較した。調査は2023年9月に1処理区につき4地点で、土壌環境(リター・腐植量、土壌硬度、養分量など)と土壌真菌相の調査を実施した。アセビ伐採区では腐植層や有機物量が多くなっていた。土壌真菌類は、アセビ伐採区で共生性の菌類が優占し、ササ刈取区で腐生性の菌類が優占していた。アセビとササを伐採することが土壌環境だけでなく土壌微生物相とそれらの機能を変化させている可能性が考えられる。発表では上記の結果と今後の展望などを議論する。


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